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米国裁判所におけるエドウィン・Y・フジナガ被告人の量刑言渡しに関する弁護団声明

2019.05.24

2019年5月23日

米国裁判所におけるエドウィン・Y・フジナガ被告人の量刑言渡しに関する弁護団声明

MRI被害対策弁護団
団長 山 口   廣

米国のネバダ地区連邦地方裁判所のナバロ裁判官は,現地時間の2019年5月23日,3時間あまりの量刑審審理を経て,MRI International, Inc(以下「MRI」と言う。)の代表者であるエドウィン・Y・フジナガ被告人(以下「フジナガ被告人」と言う。)に対し,
懲役50年(実刑)
11億2000万ドルの被害回復命令(restitution)
8億1300万ドルおよび11万6000ドルの収益没収命令(forfeiture)
を言い渡した。
当弁護団は,司法省(DOJ),連邦検察官事務所,FBI等の尽力により,米国刑事司法制度のなかで正義を実現されたことに敬意を表する。

当弁護団は結成以来,被害救済のため,国内外,民事刑事を問わずあらゆる活動を行い,フジナガ被告人をはじめとする関係者の国内における告訴状の提出,捜査協力者への支援はもちろんのこと,米国連邦政府に対しても種々の働きかけをしてきた。その結果,MRI代表者としてポンジー・スキームを主導したフジナガ被告人ほか2名が2015年7月,米国にて郵便・通信詐欺などの容疑で刑事訴追されるに至った。
今回のフジナガ被告人に対する量刑言い渡しは,2018年10月29日から11月27日に行われた事実審である陪審員裁判に引き続き行われる量刑審手続きであり,同年11月27日に言い渡された有罪評決を受けてなされたものである。

今回のフジナガ被告人に対する50年の懲役刑(実刑)という量刑は,本件が郵便・通信詐欺という事件として立件され,日本でいう組織犯罪処罰法等の重罰規定が適用されない単純詐欺罪の量刑として考えるとき,日本の刑事司法ではおよそ実現不可能な長期刑である。また,フジナガ被告人が現在72歳であり,その寿命を考えるとき,同人が存命のまま出獄することは不可能である刑期を言い渡したものであって,MRIによる投資詐欺の被害者総数が約8700名,被害総額が約1365億円にものぼり,被害者の多くが現在に至るまで被害回復を受けられずに将来の生活の不安を抱えて苦しんでいる現状を考慮した量刑と評価することができる。

現にナバロ裁判官は量刑の理由として以下のように述べた。

「証拠に照らすと,被告人の陳述内容は意味不明としか言いようがなく,減刑を認める理由がない。
被告人は来る日も,来る月も,来る年も,盗みに盗みを重ねてきた。
その上苦境に陥ってやったことは,自分の資産を処分することではなく,さらに人の金を盗み,虚偽に虚偽を重ねていった。
自分は知らなかった,自分が事業上で,失敗をしたというのが言い訳になると思うこと自体が馬鹿げている。
それ自体心外であるし,被害者にとってみればさらに心外なことである。したがって,50年の懲役に処する。」

この言葉は被害者全員を代弁する言葉である。

フジナガ被告人に対しては上訴審に控訴等することなく,真摯に反省して刑期に服するよう,改めて求める。

なお,MRIの我が国における代表者・鈴木順造被告人と,同人の長男でありMRIの勧誘に主導的役割を果たした鈴木ポール武蔵被告人は,フジナガ被告人と同時期に米国において刑事訴追を受けていたにもかかわらず我が国に居住しているために刑事手続きが進行しないでいたが,ようやく本年1月30日に身柄を拘束され,3月27日の東京高等裁判所の逃亡犯罪人引渡法に基づき引き渡すことができる旨の決定を経て,4月17日に日本当局から米国当局に身柄が引き渡された。
4月18日の初度出頭及び罪状認否において両被告人は無罪を主張し,いったんは保釈決定が出されたものの,5月7日の審理を経て勾留が継続している。
当弁護団は,鈴木両被告人が一刻も早く刑事手続きにより有罪認定および量刑の言渡しがなされることを切望する。

日米の国境をまたぐ詐欺事件の解決のために,当弁護団は,これまで誰もなしえなかった,日本人を救うための米国クラスアクション手続き,米国証券取引委員会(SEC)によるディスゴージメント手続きを実現してきた。そして,米国司法省(DOJ),連邦捜査局(FBI)への働きかけにより上記被告人ら3名の起訴にこぎ着けた。
そして本日,フジナガ被告人に対し重罰を科す量刑の言い渡しがなされたことは感無量である。

今後も当弁護団は,民事刑事ともに,さらに活動を続けていく所存である。

以上


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